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データリカバリー(Mac版) conecoユーザー評価:Mac OS Xで消したファイルを復活

Apr 29,2015 • Filed to: ソフト評価 • Proven solutions

■なぜ、ファイルは無くなるのか?

さて、コンピュータを使っていて、誤ってファイルを消してしまった経験のある人はほとんどであろう。想定される事例をあげてみると、以下の通りである。

 ・バックアップせずにゴミ箱を空にした
 ・デバイスをバックアップせずに初期化
 ・HDDやUSBメモリをフォーマット
 ・書き込み中にストレージメディアの電源をオフに
 ・カメラがオンなのにメディアを

 ・パーティションの消去
 ・まちがって、削除コマンドを実行

他にも考えられるが、これらのほとんどは、ユーザー自身の不注意といってもいいだろう。筆者も痛い思いをしたことは多々ある。なかでも、バックアップファイル(拡張子が.bak)を削除しようとして、本来「rm *.bak」とすべきところを「rm *」と入力してしまったのは数回経験している。実は、「ピリオド」をテンキーにあるキーを押そうとして、その右隣のEnterキーを押してしまったのである。なるべく、テンキーは使わないようにしているのだが、つい使ってしまいこのようなことになるのだ。
さらに、人的ミス以外にも、次のようなことがある。

 ・パーティションの論理構造に障害発生
 ・物理的な障害発生
 ・ウイルスなどに感染
 ・停電など、予期しない電源遮断

いずれも、常時発生するようなことではないが、可能性はゼロではない。しかし、老朽化などは必ず発生するもので、いつかは起こるものだ。そして、人間のすることに完璧を求めるのは不可能に近い。そんなミスをリカバリーするためのツールがある。
今回は、Mac OS Xで、データリカバリーを可能とするワンダーシェアのデータリカバリー(Mac版)をレビューしたい。

■どうして削除されたファイルが復活できるのか

Mac OS Xに限らず、最近のコンピュータのファイルシステムでは、ファイルの管理用の領域を用意する。そこには、実際のファイル位置情報などが書かれている。ターミナルでファイルの一覧を表示するlsコマンドでは、実際のファイルを見ているのではなく、管理情報を参照しているのだ。
Mac OSでファイルを削除すると、いったんごみ箱に移される。この時点では、ファイルの復元はまったく問題ない。そして、[ゴミ箱を空にする]ことで、ファイルは完全に削除される。しかし、この段階で行われているのは、管理情報にあるそのファイルのエントリを削除するのである。こうすることで、Finderやコマンドを使っても、そのファイルを表示することができなくなる。つまりは、ファイルは存在していないように見える。
しかし、もともとHDDにあったファイルは、そのまま残っているのである。ワンダーシェアのデータリカバリーは、管理情報にはないがHDDに残っているデータからファイルを復活させるのである。しかし、注意すべきことがある。管理情報から消された(=削除された)ファイルが存在し続けては、HDDがいくらあっても足りない。管理情報から消されたファイルは、必要に応じて上書きされていく。こうして、削除されたファイルは、なくなっていくのである。
逆にいえば、データリカバリーといえども、完全に上書きされた状態から復元を行うことはできない。これが冒頭の欠点でもふれた「確実に復元可能ではない」理由なのだ。したがって、誤ってファイルを削除した場合には、できるだけ速やかに復元作業を行う必要がある。気がつかないかもしれないが、アプリケーションは作業の一時ファイルを作成したり、Webブラウザは閲覧中のページのキャッシュを保存していく。こうして、時間経過とともに復元の可能性はどんどん低くなる。

■ワンダーシェアデータリカバリー(Mac版)を使ってみる

では、早速、データリカバリーを使ってみよう。図1がメイン画面である。5つの復元オプションがある。簡単に説明しておこう。

●失われたファイルの復元
[Command + Delete]や[ゴミ箱を空にする]などの操作で失われたファイル、パーティションのフォーマット、破損により失われたファイルを元のファイル名と構造ツリーで復元
●Rawファイルの復元
より高度なスキャンでファイルを復元するモード
●パーティションの復元
パーティションの損失、パーティションの削除、パーティションのエラーにより失われたパーティション内のデータを復元
●iTunesからiPhoneファイルの復元
iTunesと同期されているバックアップファイルから写真、動画、SMS、連絡先、メモ、カレンダーや通話履歴など、iPhone、iPad、iPod Touchに失われたファイルを復元
●復元の再開
前回のスキャン結果を保存し、インポートなどができる

ここでは、USB外部接続されたHDD上のデータを削除し、データリカバリーを使ってみた。180MBほどのデータを作成し、ゴミ箱から削除する。ここで、[失われたファイルの復元]を選択する。対象のパーティションを選択し、スキャンを開始する(図2)。
スキャンが行われ、復元可能なファイルの一覧が表示される。画像データなどは、プレビュー付きで表示されるので、復元ファイルを見つけやすい(図3)。
ファイルの前にチェックを付けると、復元対象ファイルとなる。上にある[復元]をクリックし、復元場所を選択する(図4)。余裕があれば、物理的に別のHDD、もしくはパーティションを選択するとよいであろう。もし、障害などが原因の場合には、復元できなくなったり、復元してもうまく扱えない可能性もある。

■削除後に書き込みが行われると

さて、削除後にファイルの書き込みが行われると、復元が難しいことがあると書いたが、実際にやってみた。先ほどのゴミ箱を空にした状態で、100MBほどのファイルを書き込んでみた(使用していた約半分だ)。その後、同じように[失われたファイルの復元]を試してみた。
結果であるが、図5のようになった。ファイル名は正しく認識しているが、有効性も「普通」や「低」となっており、正しくプレビューすることもできない。実際に復元しても、一部は正しい状態にはならなかった。
最初の書いたようにファイルの一部が上書きされてしまったのである。

■Rawファイルの復元は時間もかかる

さて、[失われたファイルの復元]で復元したいファイルが見つからない場合、[Rawファイルの復元]で復元可能な場合もある。手順は、[失われたファイルの復元]とほぼ同じであるが、復元するファイルタイプを選択することができる。これは、すべてのファイルを復元すると膨大な量になるからである。あらかじめ絞り込んでおくのが、賢明である。
HDD内のファイルの痕跡をすべて収集する。したがって、パーティションサイズによっては時間がかかる。[Rawファイルの復元]の実行結果が、図6である。図3とは異なり、ファイル名も連番となり、有効性なども表示されない。ここで選択している00000563.pngは、プレビューも正しくされており、復元可能であった。しかし、こうしてリストされた画像ファイルは、プレビューできないものもあった。しかし、かなり強力な復元手段であることはまちがいない。最後の手段として、使いたい。

■削除したパーティションを復元

最後にパーティションを復元してみよう。ここでも意図的に、パーティションの1つをディスクユーティリティで削除する。図1から[パーティションの復元]を選ぶ。まず、復元したHDDを選ぶ。削除されたパーティションを含め、パーティションの一覧が表示される(図7)。
ここで、復元したいパーティションを選択するのであるが、この時点ではパーティション名などは表示されない。HDDにおける位置やサイズなどを参考にすればよいであろう。さらにスキャンを行うと、図8のように復元可能なファイルなどが表示される。この例では、ほぼ完ぺきに復元された。これは、満足いく結果であった。

■過信は禁物

Mac OS Xには、標準でTime Machineというバックアップソフトが付属する。すべてのファイルを対象に1時間ごとに増分バックアップを行い、過去の任意の時点に戻すことができる(これが、Time Machineの名前の由来である)。バックアップもまた、このような対策の1つになる。しかし、次のバックアップの1時間後までにファイルを削除してしまったらどうなるか。最悪のケースかもしれないが、バックアップでも100%完全とはいえない。
データリカバリーとバックアップの併用がより安全性を高めるといえるだろう。
そして、もう1つ注意すべきことがある。障害発生時の復元にも利用できるが、Rawファイルの復元はHDDなどにかなりの負荷を与える。物理的な障害が原因でファイルの復元を行おうとして、HDDにトドメをさすことも考えられる。
重要なことは、過信は禁物ということだ。上述したように、上書きされてしまえば、復元の可能性は低くなる。もし、削除してしまった場合には、できるだけ速やかに対応することが望ましい。そして、復元できたらラッキーくらいの気持ちでいることも必要かもしれない。
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